Turquoise (ターコイズ)の語源をご存じでしょうか?
世界で初めて産出されたターコイズの鉱山が、トルコ共和国の前身であるかつてのオスマン帝国(オスマントルコ)にあったことから、ヨーロッパの人々が pierre turquoise (トルコの石)という意味の名をつけ広まったことが始まりでした。
アナトリアと中国を結ぶシルクロードに位置するその場所は、古くから銀製品や鉱物を運んでいた歴史があるところ。その行き来はいまも続いています。
現代においては、さすがに陸路を運ぶことは少ないかと思いますが、鉱物を運ぶ商人たちは、いまだにイスタンブールに集まり多くのターコイズを取引しています。
私たちが訪れた際も、観光客が行かないバザールの外れの宝石店では、紙のなかに無造作に入れられたラフカットのターコイズを広げながら店主と交渉に耽る商人たちがいるのでした。
私たちも同じ紙を開き、すべてのピースをチェックします。なかでも目を惹いたのが、パイライト・イン・ターコイズ。
実に優美なオリエンタルブルーと、狭間に光るゴールドのパイライトは、この地で多く巡ってきたモスクの碧い壁面と金細工を見ているようで目が離せません。
何段階にも分かれるブルーグリーンのグラデーションのなかから、一目でわかる鮮やかさをもつターコイズを抜き出し、フォルムやパイライトの入り方が美しいものを選別します。
その間には、どこからともなくチャイが運ばれてきます。
バザール内では専用の電話回線もあるようで、注文すればすぐにチャイをお盆で運ぶ人がやってくるのです。
甘いチャイを一口飲めば不思議と疲れも和らぎホッとした気分に。
いったいどれだけの長い間、こうしてチャイを飲んだ交渉がこの地で続けられてきたのでしょうか。
他のどこにもない、独特の空気感を感じながら、同時にパイライト・イン・ターコイズのエネルギーにも同調していきます。
ターコイズらしい大らかでまっすぐな純真さ。相手への疑念を抱くことなくただ愛と誠実さだけを与えてくれるスピリット。
そうした力と同居する、頑強に外界の敵を打ち払うパイライトのパワー。
相手に対するアプローチの仕方が全く正反対ともいうべく2つの鉱物ですが、それが絶妙な均衡を保って同居しているから不思議です。これぞアナトリアの陰陽バランスを体現した種なのかもしれません。
触れているうちに、心は凪ぎ、人へのまなざしも優しくなります。しかし、芯なる部分の強さは増していくのです。
自分自身に曇りがないから、人も信じられるという絶対的な自信と余裕。くったくのない笑顔は万人から抵抗を奪い、その空間に笑みと愛を広げます。どこか色気のある神秘性もまた、この地に由来するものでしょう。
何千年もの昔から、災いを防ぐと言い伝えられてきたターコイズ。
時代が変り、国の境が何度変わってもその姿は変わることなく。
今後200年は続くとも言われる風の時代にも、風のエレメントが色濃いターコイズは必要となっていく気がしています。
今回私たちがご紹介するターコイズは、空間用、装身具用とそれぞれに準備しました。オンラインと、明治神宮前店にもそれぞれ異なるターコイズを置く予定です。あわせてぜひご覧くださいね。